胃潰瘍を放置したらどうなる?

胃潰瘍は胃の壁に部分的な欠損がある状態で、一般的には胃痛を伴うことが多い病気です。
症状の現れ方や病気の発現の特徴により急性のものと慢性のものに分類されます。
急性胃潰瘍では、突発的な胃痛や胸焼けなどを主な症状として発症します。
強いストレスや薬剤の副作用として発症することが多い病気です。
これに対して慢性胃潰瘍はヘリコバクターピロリ菌(ピロリ菌)の感染により胃粘膜の防御因子が低下している状況で、胃壁の自己消化を促進する攻撃因子が活性化され潰瘍が形成されます。
いずれのタイプの胃潰瘍も放置しておけば、潰瘍がさらに胃壁を深くえぐり、穴が開いた状態を引き起こすことがあります。
このように胃壁に穴が開き腹腔と胃が直接交通する状態を穿孔と言います。
穿孔が生じると急性の腹膜炎や大出血をきたし、緊急の手術が必要になる場合もあります。
軽症の胃潰瘍であれば放置していても再生粘膜に覆われてやがて治癒することもありますが、胃潰瘍は再発を繰り返すことの多い病気のため、発症と治癒を繰り返すうちに胃壁に瘢痕を残すことが多くなります。
軽度の胃潰瘍を繰り返す程度では、自覚症状も乏しいために本人としては胃の調子が悪い程度の認識で、長期間放置されていることも少なくありません。
しかし胃潰瘍を放置しておくと二次的に胃がんの発症につながるリスクがあることが指摘されています。
これは潰瘍により胃壁の粘膜細胞が慢性的にダメージを被り、遺伝子の変性から胃がんの出現のリスクが高まると考えられます。
ところで胃がんの発生にはピロリ菌の感染が大きな影響を有しています。
特に慢性胃潰瘍ではピロリ菌感染が関係していることも多いため、治療せずに放置しているとピロリ菌による胃がんのリスクも一層たかまることが考えられます。
胃がんが発生すれば入院のうえ手術を行う必要があります。
とりわけ胃潰瘍を放置するような健康管理では、胃がんの早期発見の機会も逸してしまう可能性もあります。

痛みを感じない胃カメラの検査があります

みぞおちの痛みや胸焼けなどの症状に心当たりのある方は、医療機関を受診して胃の状態を検査する必要があると認識するべきでしょう。
それでは胃潰瘍の検査はどのような方法で行われるのでしょうか。
胃壁全体の状態を確認できるバリウム検査も実施されますが、胃の内部の状態を正確に把握するためには、医師の肉眼で状態を確認することが不可欠です。
特に胃がんの中には潰瘍を伴っており、胃潰瘍と紛らわしいタイプもあります。
そこで正確な胃潰瘍の診断のためには、胃カメラを実施するのが不可欠な方法と言えます。
しかしこの検査方法は咽頭から食道を経由してカメラを体内に挿入する手技が必要になるため、負担感が大きいのも確かです。
胃カメラの挿入を嫌って、長期間胃の状態に変調を自覚しながら放置されている場合すらあります。
胃カメラの検査の際には麻酔薬が使用されますが、嘔吐反射が強い方では依然大きな不快感や負担感を伴う検査方法であることには変わりはありません。
そこで従来の胃カメラ検査では不可避だった不快感を感じない検査方法として、セデーションを活用する施設が増加しています。
セデーションとは「意識下鎮静法」の別名を持ち薬を使って意図的に意識を落とすことで肉体的な苦痛を感じさせない方法を指します。
通常の胃カメラ検査であれば喉の麻酔の後、意識がある状態で胃カメラを挿入していくことになります。
これに対してセデーションを活用した胃カメラ検査では、胃カメラを飲む瞬間ですら意識しないほど眠った状態で検査が完結するので、従来の胃カメラのような肉体的負担を感じることはありません。
胃潰瘍は放置すると、穿孔や胃がんなどのリスクが高まります。これらの病気にかかると入院して手術を受けるなど治療は大掛かりになります。
胃潰瘍の症状が気になる場合には、胃カメラなどの検査を受けて、病気の早期発見を心がけましょう。